ルシエルブルー3《S.Watanabe》

118. ページ20

.





電話に夢中になってる間に強行突破で帰ろ。






「蓮、私帰るよ、まだ暗くないし」



目「えっ？ちょっと待って！康二またかけるわ」



向『あ、Aちゃんいんの？先に言ってや！俺今帰るとこやで、大学まで迎えにいこか？』



目「あー、いや、あいつ多分そのまま歩いて帰りそうだから俺ついていく」



向『じゃあ俺家の前の道で待っとるわ』



目「あー…、大丈夫っぽい」








後ろから追いかけてきた蓮は、康二くんとまだスピーカーで電話中で、


玄関で靴を履き替えていると校門のところには目慣れた車。







目「翔太くん迎えに来てる」



向『お、珍しい今日は早く仕事終わったんかなー
じゃあ俺はめめと飯行こうかな、大学で待ってて』



目「え、俺は帰るよ笑
A、じゃあ気をつけて帰れよ」



「うん、蓮ありがとう、また明日ね」








もう2週間以上顔を見てなかった。


私が車に近付くのを確認すると、中から出てきた。






「翔太、」


渡「よっ」


「なんで、」


渡「あれ、嬉しいサプライズだと思ったんだけど。笑」


「うん、嬉しいっ」


渡「おい抱きつくな、大学の目の前で」





そう言いながら、うしろに手をまわしてくれて

私の頭をぽんぽん、としてくれた。




講義終わってから時間はたってるものの

少し恥ずかしさが込み上げてきて早々に車に乗った。





渡「ごめんな、最近引き継ぎでいろいろ忙しくて。
早めに全部終わらせて、あとはお前との時間作りたかったっていうか…」



「え…」



渡「思ったより時間かかりすぎて出発まで1週間ちょいしかねー笑」



「もうっ先に言ってよね！！」



渡「舘がめちゃくちゃ心配してたぞ」



「舘さんが？」



渡「うん、夜ご飯の量がかなり減ってるって
いつも食べてきたからってちょっとは食べてくれるけど
それも多分ウソだって見抜いてる
お前が連絡なしに舘のご飯食べないなんてありえねーし」



「私そんなに食い意地はってないし」



渡「ちゃんと食えよ、俺がいなくても」







舘さんはやっぱりすごいなぁ…


もう昔から知ってるような間柄だと勘違いしちゃう。笑








「翔太もちゃんと食べるんだよ」



渡「ロンドンなんてうまいもんしかねぇだろ」



「フイッシュ＆チップス毎日食べるの禁止ね」



渡「…そんなことするわけないし」



「やろうとしてんじゃん」

119.→←117.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す