君の記憶の中に僕はいない【ab】 (ページ8)

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Aside

薬品の独特なツンとした匂いで目が覚める。
ここがどこなのか、分からない。
目が覚めると隣にいる男の人が私の名前を呼んだ。

「…！A、？大丈夫？分かる、？」

私の手を握っていて、私が目が覚ましたからなのか握る力が強くなった気がした。

でもこの人を私は知らない。
どんな名前でどんな性格なのかも分からない。

……痩せ型、高身長、マスクしてるし帽子をかぶってる。
男の人で、、目が綺麗。

『……っ…だれですか…』

そういうと男の人は亮平だよ！！と詰め寄ってきた。
……怖い。直感的にそう思ってしまった。
やだ……怖い…離れて……

すると、彼はお茶を買ってくると言って出ていってしまった。
私の態度に不満を抱かせてしまったのだろうか。
とはいえ、知らない人にあんな詰め寄られたら誰だって怖いに決まっている。

少しすると戻ってきてまた私の手を取った。
私は少し脅えてしまって、
彼を悲しませてしまったかもしれない。

「…俺の名前は阿部亮平っていいます。」

彼は悲しそうな顔で話し始めた。
阿部亮平さん…
聞いたことあるような名前。
でも思い出せないから知らない人なのだろうか。

「職業は…人の前に立つ職業をしています。
Aさんが、ここで入院してるって聞いて心配して来ました。
……Aさんとは"仲がいいお友達"です」

仲がいい友達。その言葉に引っかかった。
友達なのに、なんでそんな
悲しそうな顔をしているのだろうか。

人の前に立つ仕事……
ん〜…大学の教授？若そうだから大学院生とか？
まぁどっちでもいいけど。

そして彼はまた口を開いた。

「Aさんは、事故で頭を強くうって記憶が少し無くなっちゃいました。無理して思い出さなくていいので、、
一緒に乗り越えていきませんか？？」

事故、？
横のガラスの反射を見て自分の頭が包帯だらけになっていることに気づく。
あぁ私事故したんだ。
私が過失？相手の人は、？
ていうか、自己紹介しなくちゃ……

『……自己紹介必要ですよね…
胡桃Aです。阿部亮平さん。
私、失った記憶を取り戻したいです。
手伝って欲しい…とそんな迷惑をかける言葉は言わないので…少しだけお力を貸していただけないでしょうか、？』

阿部さんは少し顔が緩んで"喜んで"と言ってくれた。
案外優しい人なのかもしれない。